ノコギリクワガタの飼育方法をご紹介します!


成虫飼育

ノコギリはミヤマに比べるとかなり丈夫で自然破壊の進んだ森でも生きていて、分布も北海道から九州迄(沖縄は亜種となる)と広く、生息高度も低地から標高1000メートル近く迄生息している。

なので、飼育も比較的楽である。ミヤマの様な虚弱体質のクワガタに比べると少々暑くても簡単には死なないし(ただし、35℃以上が続く様な場所では確実に弱ります。なんせ標高1000メートル近くの夏でも涼しい所にも生息している位なので!)他の種類のクワガタと比べると転倒死も少ない感じがしますが、転倒防止材は入れておいて下さい!

成虫飼育に関してはドルクスマットを少し多目に加水して乾燥しないように注意しておけば大丈夫です!

 

しかし、累代飼育をしていて唯一困るのが越冬です!

昔から一般的に皆に知られているノコギリクワガタですが、近年まであまり知られてなかった事実があります!

それは、産まれて1年~2年で成虫になり羽化した夏から更に次の夏までは蛹室で飲ます食わずで1年間じっとして、ようやく次の夏に出てきて活動、繁殖、秋に死んでしまうと言う事です!

夏に出てきたノコギリの成虫の寿命の短さに驚きです!

自然界ではミヤマもオオクワもそのようなパターンの時があります!

そして、ノコギリはこの羽化後からの1年越冬期間が長いです!

 

注意するのはこの羽化した成虫が蛹室から出て来ないのに人間が待ちきれず無理矢理外に出してしまわない様にしなければなりません。

本来1年間羽化後蛹室で休むハズの成虫を無理に外に出しても餌は食べないし早死にさせるだけです!

ノコギリの成虫は羽化後蛹室で1年間飲まず食わずの苦行をこなす高僧の様な(人間はせいぜい百日の行が限界ですが)クワガタです!

冬場に成虫を死なせてしまう原因は大抵越冬期間の成虫を無理矢理蛹室から出して遊んだか、乾燥し過ぎで放置してしまったかのどちらかが多いようです!

越冬中の成虫は仮死状態なので酸素消費量も殆どないので静かな涼しい所で管理してあげて下さい!

採卵(ペアリング)

私の場合雄雌共にずっと同じ飼育ケースで飼ってますが、特に雌だけにしなくても産卵数に殆ど変わりはありません!

Mサイズの飼育ケースにワンペア、もしくは雄雌雌のトリオで飼い、やや湿り気の多目のマットを15㎝くらい入れて水分を多目に加水した産卵木を入れておきます!

マットがキチンと発酵してないと何となく酸っぱい臭いがする事が有りますが全く気にする必要はありません!むしろ大切なのは湿度です!

環境が乾燥気味になるとなかなか産卵しません!それは、幼虫がかなり湿度が多目のマットを好むからです!

ノコギリの雌はオオクワの様に産卵木に穴を開けて埋め戻す産み方ではなく適当に産卵木をかじりながらかじり屑と産卵木の間に産んだりする事が多いです。

産卵木がとても柔らかければ産卵木にも産むし、マットにも産みます。

 

沢山産ませたい人は湿度が多目のマットの上に湿度が多目の柔らかな産卵木を置いておきます。

エアコン等を使わず自然環境で飼育されている場合、産卵は夏から秋にかけてになります。

10月から11月頃にマットをひっくり返すと卵や幼虫が取れるでしょう。

産卵木に産んでいる事もありますので忘れずチェックしましょう!

ワンシーズンで約30個位の卵を産みます。

羽化迄

ノコギリの飼育ポイントは湿度です!

決して乾燥し過ぎてはいけません!飼育温度もなるべく25℃以上が理想です!

幼虫飼育

ノコギリの幼虫飼育に関してはとにかく湿度を多目に保って下さい!

逆に湿度さえキチンと保っていたら飼育ケースやボトルの中に少々青カビや粘着性の黄色い粘菌がはびこっても全く気にする必要はありません!

後、これもあまり知られてませんがノコギリの幼虫は湿度を保つ為になんと飼育ボトルの蓋に全く通気穴を開けない事です!一見そんなバカな!

窒息するじゃないか!と、言われそうですが基本それが原因で幼虫が死んだ事はありません!

自然での世界を考えてみて下さい!そもそも自然界では幼虫はずっと地下に潜ったままで腐った根っこの部分を食べてます。

元々土にずっと潜ったままで生きてます。

なので人間が過保護に思ってる程ノコギリの幼虫は酸素を必要としていないという事です!

飼育で気を付けるのはマットが未発酵で小麦粉等の添加剤を混ぜている場合、それが急激に発酵して酸素を消費した場合です。

この場合は窒息死します!なので発酵済のマットを使用して下さい!

温度管理出来る環境なら幼虫をずっと25℃で飼育して下さい!温度管理無しで飼育した時とは比べ物にならない程大きく育ちます!

通常ノコギリの3令幼虫は体重が10グラムから12グラムですが、15グラムアップが出る時があります!

これはオオクワでいう所の35グラム級のオバケサイズだと思います!

蛹化から羽化

管理温度高め(25℃~27℃)が理想です!もし、温室が有れば前蛹や蛹の期間を短く出来て羽化も早める事が出来ます!

温度管理を行わない場合は夏に産まれて冬までに2令、その次の年は3令から蛹、成虫(蛹室の中)更に次の夏に出てきます!

前蛹から羽化迄は約1ヶ月位ですが、羽化後1年間蛹室の中でじっとしているので、羽化後の成虫も温室管理すればもっと早く数ヶ月で蛹室から出て来るかも知れませんね!